野村 貞子

藤本奈菜恵・美和さん近影

有機栽培を行う両親の元で消費者に選んでもらえる野菜作りに姉妹で励む

プロフィール

野村貞子さん/昭和18年、阿蘇郡産山村生まれ。阿蘇高校を卒業後、京都府の華頂短期大学に進学。産山村での2年間の農業体験を経て、熊本市で営業職などを経験する。定年退職を機に、姉妹とともにうぶやま山野草園を立ち上げる。園内では主に料理を担当するほか、草刈りや山野草の植え込み、整備も行っている。

きっかけ

食事の準備をする野村さんの写真高校卒業後、県内外で働いてきましたが、60歳の定年をきっかけに産山村にUターン。在職中は、とにかく仕事を精いっぱいやることだけを考えていたので、退職後は、違った事がやりたいと思っていました。そんな時、姉が「自分の野草園を作りたい」というので、私も立ち上げに参加することに。第2の人生も、生まれ故郷の産山村からスタートということになりました。

ここでは、自然のままを見てもらうために、公園という形をとり、約700種類の山野草を育てています。産山村のような高地だけで育つオキナグサ、池や沼などの湿地で育つシラヒゲソウなど、希少な植物も見ることができますよ。

水鳥のように

1つだけ心がけているのは、山野草も、山菜料理も「ここにしかないものを提供する」こと。私は食事を担当していますので、「料金を払う時にもったいないと思うかどうか」も常に考えています。精いっぱいのものを提供して、お客様から「おいしかった、ありがとう」と言っていただくことが励みになり、さらに努力する原動力になっています。
山に入って採集するところから始まり、漬けたり、干したりといった下ごしらえまで自分でやります。この話をすると、よく「手間がかかって大変ですね」と言われるんですが、自分の体を動かすことを大変だとは思いません。ただ、私の性分として、一生懸命やっているところをお客様に感じさせないようにしたいとは思っています。水鳥のように見た目はスマートに、でも水面下では足をフル回転、というのがおもてなしの理想ですね。

今後の夢・展望

来園者との会話も弾む野村さんの写真私自身が自然の中で教えてもらったことを、後世に伝えて行くことができればと考えています。来園された方から、「気をつけて見ないと山野草の花は見つからない」という声をよく聞きます。小さな山野草は、花の気持ちになって視点を変えてあげなければ見つからないんです。これは相手の気持ちになって考えるということにつながります。そういった思いやりの気持を、山野草を通して今の子どもたちに伝えたいと思っています。
今、食事処では子ども向けのメニューを考えています。そうすれば、おじいちゃんおばあちゃんが、孫を連れて来やすくなるんじゃないかと思って。花だけではなく、園内のカエルや鳥を観察してもらい、情操教育にも役立ててもらえればいいなとも思っています。

  • このページの原稿と写真は公益財団法人阿蘇グリーンストック発行「草原だより Vol.37」より抜粋いたしました。
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