世界農業遺産とは

世界農業遺産

正式にはGlobally Important Agricultural Heritage 世界農業遺産Systems(GIAHS(ジアス)世界重要農業遺産システム)といいます。

国際連合食糧農業機関(FAO、本部イタリア・ローマ)が2002年に開始した仕組みで、次世代に受け継がれるべき重要な伝統的農業(林業、水産業を含む)や生物多様性、伝統知識、農村文化、農業景観などを全体として認定し、その保全と持続的な活用を図るものです。

「過去の遺産」ではなく、さまざまな環境の変化に適応しながら進化を続ける「生きている遺産」と言われています。これまでペルー、チリ、中国、フィリピン、アルジェリア、タンザニアなどのサイト(世界農業遺産に認定された場所のこと)が認定されて、それぞれ地域固有の取組が行われており、日本でも2011年に先進国として初めて佐渡と能登が、2013年には静岡、阿蘇、国東が新たに認定されました。2020年6月現在、世界で62のサイトが認定されています。

日本における世界農業遺産

トキと共生する佐渡の里山
©佐渡市

トキと共生する佐渡の里山

新潟県の佐渡地域は、金銀山の発展が生み出した棚田など里山景観や、多くの農村集落では多様な農文化・芸能がこれまで大切に引き継がれてきました。また、近年、効率性、経済性を優先した米作りが進む中で、生物多様性を重視した「生き物を育む農法」とその認証制度を地域全体で推進しています。

能登の里山里海
©世界農業遺産活用実行委員会

能登の里山里海

石川県の能登半島は、美しい農村風景が見られ、棚田やため池による里山の景観と、海女漁、揚げ浜式製塩など里海の資源を活用した伝統技術が受け継がれています。また、「あえのこと」やキリコ祭りなど、農業と結びついた風習や文化が多く残っています。

静岡の茶草場
©掛川市

静岡の茶草場農法

静岡県の掛川周辺地域は、伝統的な「茶草場農法」が営まれています。これは茶園の近くにあるススキなどの草原(茶草場)の乾草(茶草)を茶園の土づくりに用いるもので、茶の品質を高めながら同時に半自然草地特有の生物多様性を保全しています。

クヌギ林とため池がつなぐ国東半島宇佐の農林水産循環
©大分県

クヌギ林とため池がつなぐ国東半島宇佐の農林水産循環

国東半島宇佐地域は、日本一の原木しいたけ栽培により、クヌギ林の伐採・再生によってその水源涵養機能が維持され、クヌギ林と多くのため池郡により水稲やシチトウイ生産をはじめとする循環型の農林水産業が営まれています。

関係機関へのリンク

国連大学サステイナビリティと平和研究所

農林水産省 世界農業遺産のページ

阿蘇草原再生協議会