今村 隆孝

今村 隆孝さん近影

地域おこし団体のリーダー、個人として、できる範囲で生まれ育った場所へ恩返しを

プロフィール

今村 隆孝(いまむら りゅうこう)さん/昭和38年、熊本県阿蘇市西湯浦に生まれて育つ。熊本市内の高校を卒業後、建設関係の仕事に従事。平成16年に帰郷し、奥さんと子ども5人の家族7人で阿蘇市西湯浦に暮らす。平成23年に、地域の若者と地域おこし事業に取り組む団体「なべづる大学」を結成し、学長を務める。

きっかけ

講演中の写真阿蘇の外輪山のふもとを走る市道・鍋鶴(なべづる)線の沿線にある「西小園」「西小園」「西湯浦」「湯浦」「南宮原」の4つの地区があります。「鍋鶴地区」はその総称。大学名の由来です。大学のサークルのように、幅広く、自由に活動できるように、との思いを込めて大学と付けました。

農業が盛んな場所ですが、専業農家は減少し、個々の経営は楽ではない様子。そういった現状がある中、夏祭りの余興を担当する「余興部」で集まる機会があり、「昔のように燃える何かがしたい」という声が上がりました。そこで、地域おこしの団体として「なべづる大学」を発足することになりました。できることを何でもする”便利屋”のような団体になれたらと考えています。

主な活動

西湯浦牧野草原再生予定地見学会の様子主な活動は、昔ながらの子どもから老人まで参加できる地域の運動会を主催し、毎年150名からの参加があります。また、地区内にある11の公民館に、サルビアやペチュニアなどの花の苗を植えたプランターを設置する「なべづる線花いっぱい運動」や、「交通安全運動」などです。阿蘇市の小学校が竹灯籠を作ると聞き、メンバーで青竹を伐採して届けたこともありました。

今が最後のチャンス!

西湯浦牧野草原再生予定地見学会の様子私は、西湯浦牧野の原野草原再生の実行委員長を勤めています。そのため、「なべづる大学」でも草原再生事業に関する活動にも取り組んでいます。今年は、草原景観保全事業の一つである草小積景観再現事業に協力したいと思います。平成26年3月からは西湯浦原野の野焼きも再開する予定です。

40年以上、実施されていなかった西湯浦の原野の野焼きを再開すれば、景観の再生と共に観光客の集客や防災など様々なメリットが考えらます。しかい、防火帯を作成するのに植林した保安林を切り倒すところから始めなければならず、簡単な作業ではありません。また、ただ火をつけて焼けばいいというものでもありません。野焼きのノウハウを知る熟年世代が元気なうちに、若者たちが技術や知識を受け継いでおかなければ2度と再開することもまた維持管理もできないでしょう。「今が最後のチャンス!」と、地域住民の方に計画への同意をお願いして回りました

鍋鶴地区の住民はみんな”仲間”のようなものです。「なべづる大学」は、まだまだ成長途上にありますが、住民をつなぎ、地域を外に向かって発信し仲間を作る手助けと成るような団体であれたら、と思っています「なべづる大学」の学長としても、私個人としても、生まれ育った土地のために、できることをしていくつもりです。

  • このページの原稿と写真は公益財団法人阿蘇グリーンストック発行「草原だより Vol.57」より抜粋いたしました。
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