草小積みと草泊まり文化(阿蘇市)

No imageかつては、草は大切な資源であり、生活に欠かせないものでした。阿蘇の北外輪では、農家の人々が住むカルデラ内の平地から採草地のある北外輪山上まで草を刈るために登っていました。しかし、蛇行する坂道を往復するには多大な労力を要しました。こうした労力を節約するため、小川の畔などに、割り竹の骨組みにススキで屋根を葺いた「草泊まり」をつくって、寝泊りしながら草刈りを行いました。刈り取った草を束にして積み上げ通気性がよく草が傷みにくい貯蔵法の「草小積み」も効率的に草刈りを行った先人の知恵です。
  昔は、採草作業の時期は学校も臨時休校となったので、子どもも含めた家族全員がこの草泊まりで暮らしながら草刈りをしていたそうで、長い時は1回の草泊まりで10日間ほど滞在したとのことです。 今は、道路が整備され、採草の機械化が進んだことで、草泊まりも草小積みも見かけることが少なくなりました。しかし、北外輪山の牧野の一部では、小学生の草原学習の一環として草小積みや草泊まりの体験学習がされています。